ryisnow’s bike & run

神奈川近辺の走って楽しい自転車ルートを探索中

Ride 10: ツール・ド・三陸2014

日時: 2014年11月2日
ルート: 高田第一中学校仮設グラウンド(陸前高田)~ 碁石海岸レストハウス大船渡)~ 黒崎温泉 ~ 高田第一中学校仮設グラウンド
距離: 約49km

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岩手県陸前高田市大船渡市で行われたツール・ド・三陸に参加した際の写真と感想です。

ツール・ド・三陸は震災の翌年になる2012年に初開催され、続く2013年、2014年、2015年にも連続して開催されています。自分は2013年から毎年参加しているのですが、今回載せたのは2014年に参加した際の様子です。

陸前高田市津波で町が壊滅状態となりました。現在沿岸部の大規模なかさ上げが続けられていることもあり、コースは毎年少しずつ変化しています。またその影響により毎年開催が危ぶまれたりしているのですが、2016年も開催されることが先日発表されました。

このイベントを知ったのは2012年の夏でした。震災ボランティアで陸前高田に通っていた際に、現地の自転車屋のおじさんから教えてもらったことがきっかけです。その時はもう募集は締め切られており参加できなかったのですが、その翌年にこのイベントに出るためにロードバイクを購入し、出場しました。

なので自分がロードバイクに乗るきっかけを作ってくれたイベントでもあります。


<前日>

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前々日の夜に神奈川を出発し、1日の朝に岩手に到着。
車への搭載はこんな感じ。


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そのまま陸前高田の復興サポートステーションに行き、ボランティア活動。

高田のボランティアセンターは震災後組織や場所が変わりながらも、現在も活動中です。がれき撤去や側溝の泥出しなどが多かった震災の年から、年月を経るごとに活動の内容は変化してきた印象で、最近は現地の農業・漁業支援や、失われてしまった松原の復旧活動、古川沼と呼ばれる場所での遺骨捜索などが中心になっています。詳しくは以下のサイトをご覧ください。

pact-rt311.org

 

休みの日などはありますがボランティアは常に受け付けております。


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河の向こうに見えるのが、かさ上げのために設置されたベルトコンベヤー。

近くの山を切り崩して土を直接運ぶという、かなり大がかりな設備でした。最近その作業が終わり、ベルトコンベヤーの解体が始まったとのことです。これらは2014年11月の写真ですが、現在でも町があった場所は人が住めない状態となっています。

陸前高田の町は起伏のないフラットな形状で、湾も開けていたことから津波の直撃を受け、岩手県でも最も多くの人が亡くなりました。現在までに確認された死者数は1600名以上、行方不明者もまだ205名(2016年2月現在)いるとのことです。

かさ上げ工事との兼ね合いなど難しいところもあるようですが、まだ捜索し切れていない場所などが残っており、上記したサポートステーション等による捜索や、海中捜索を要望するための署名活動なども行われています。

www.yomiuri.co.jp



<当日>

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イベント当日です。
この日は「天気予報100パーセント雨」くらいに言われていて覚悟していたのですが、開始間際に雨がやんで、後半はすっかり晴れ渡りました。現地では「奇跡の晴天」などとも言われていました。

この年の参加者は確か1000人ちょっとくらいだったと思います。コースは沿岸部を走ることが多いので多少のアップダウンがありますが、ロードに普通に乗っている人であればまず苦しむことはないレベルかと思います。クロスバイクやママチャリで参加している人もいました。

自分たちは地元神奈川の仲間と震災後に現地で知り合った仲間の、計5人で参加しました。

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8時になり、スタート。
まずは破壊されてしまった高田町の中を走り抜けます。


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至る所に応援してくれる方たちが。


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グループに分かれての順々スタートですが、スタート後は基本的に各々のペースで走れます。無理な形でなければ追い抜きなども全然OK。

レースではないので基本的に交通ルールに従って走行します。信号は確かコース中に一箇所だけだったと思います。

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途中で隣の大船渡市へ。

ツール・ド・三陸は「陸前高田市」と「大船渡市」のふたつの市によって開催されています。大船渡市もまた津波によって激しい被害を受けました。

現状のコースの大部分は陸前高田を走るので、個人的には大船渡をもう少し走れるような長いコースが増えたらいいなと思います。


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15.5km地点にある、碁石海岸レストハウスの第一エイドステーションに到着。

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ツール・ド・三陸はコースも比較的優しく、ガツガツ走るというよりは三陸の現在の様子を自転車に乗りながら知るという主旨が強いイベントなので、全体的にすごく温かくてなごやかな雰囲気。エイドでは現地の方の手作りのおにぎりや特産物なども味わえます。


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2013年、2014年とゲストライダーで参加していたのが、元ツール・ド・フランス王者のグレッグ・レモン氏です。

僕は2013年に参加した際にトイレで偶然鉢合わせ、いきなりのことで戸惑ってしまい軽い挨拶しかかわせませんでした。わざわざ来てくれてありがとうと、お礼くらいしっかり言えばよかったなあと今でも少し心残りです。すごくオープンで壁のない感じの人で、記念撮影などにも気軽に応じていました。

このほかにもゲストライダーとしてハンドバイクの元世界王者でパラリンピアンのグレッグ・ホッケンスミスさん、日向涼子さん、山田玲奈さんが参加。日向さんは第一回から毎回参加されており、翌年の2015年には片山右京さんも参加。右京さんはエイドで向こうから声をかけてくれて写真を撮ってくれたりと、気さくな感じでした。


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補給を終えて出発。

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少し走ると、後から出発してきたグレッグ・レモン氏が横からシャーッと抜いていきました。なんと贅沢な経験…

大分ウェイトも増えてるし、どれくらい走れるんだろうなーなんて失礼なことを思ってたんですが、やはり速かったです。坂をグイングイン登っていきました。


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第一エイドの後は半島の沿岸部に沿って走るので、海を見渡せるポイントなども結構あります。


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もともと電車の踏切だったところ。

ドラゴンレールの愛称で呼ばれた列車が通っていましたが、津波で線路が流されました。今はBRTと呼ばれるバスがこの線路跡を走行しており、列車代わりとして機能しています。

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ところどころに勾配のきつめな坂がある。


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でもそういう坂の途中には、大体地元の人たちが立ったり座ったりしていて、
「あと少しだよ。坂、大変だけど頑張って!」と応援してくれる。


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次のエイドステーションのある黒崎温泉を目指し、広田半島へ。


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沿道の声援が本当に温かい。
「来てくれてありがとう」と言われるともう、
とにかく「ありがとう」といって手を振り返すしかない。


破壊された光景や、急ピッチで進められるかさ上げによって変貌していく町の様子など、いろいろ複雑な感情が喚起させられたりもするのですが、とにかく温かさに包まれたイベントというのがツール・ド・三陸の印象です。


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第2エイドステーションまでもう少し。


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スタートから27Km、黒埼温泉脇にあるエイドステーションに到着。

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近くに海を見渡せる場所があるので、みんなで見に行く。

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素晴らしい眺め。

このエイドの横には黒崎温泉という温泉があるのですが、そこでは風呂に入りながらこうした絶景が眺められます。

ちなみに2015年は地元の祭りとの兼ね合いもあり、このエイドステーションは使われませんでした。2016年はどうなるかな?

 

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車いすに乗っているのは、ハンドバイクのタイムトライアルの元世界チャンピオンでパラリンピックにも出場したグレッグ・ホッケンスミスさん。

奥さんと一緒にゲストライダーとしてイベントに参加されていました。
海に行くタイミングが一緒だったので、道中で話をすることができました。

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再びエイドステーションへ。
ここでもグレッグ・レモンは大人気。右端に日向涼子さんもちらっと。


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大漁旗が掲げられたポイント。

津波の高さを示す建物があったり、震災当時のことを説明してくれる方などがいたり、ツール・ド・三陸というのはとにかく走るだけでいろいろなことが体感としてわかるイベントだと思います。

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ここもまたコースの名所のひとつ。
広田湾と、そこで行われている牡蠣の養殖いかだが一望できる、なかなか圧巻の眺め。大体みんなここに来ると、自然に自転車を降りて写真を撮り始めます。


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ツール・ド・三陸もいよいよ終盤へ。

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震災の年と次の年くらいはボランティアの作業現場の多くがツール・ド・三陸のコースとなった広田半島周辺だったこともあり、走っているといろいろと思い出が蘇ってきたりもしました。


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自転車イベントの名物男、悪魔おじさんもいました。

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再び高田町に入る。ゴールまであと少し。

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前日の雨でグラウンドがぬかるんでいたため、最後は自転車から下りてゴール。

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この年は地元の産業まつりとの同時開催だったため、ゴール/スタート地点には、たくさんのお店が出店していました。

走り終えた1000人以上のサイクリストたちが加わったため、いっそうにぎやかな状態に。


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いくつか買って、芝生の上に座って食べる。


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終わってしまった…あっという間だった。

ツール・ド・三陸、いいイベントでした。

震災以後、陸前高田市大船渡市、そして被害のあった東北沿岸部には自衛隊、警察、工事関係者、ボランティアを含め、たくさんの人々が訪れ続けています。

誤解を恐れずに言うと、僕はこのツール・ド・三陸に参加したとき、町の人に初めて本当の意味で歓迎してもらえたような気がしました。

ツール・ド・三陸はみんな純粋に楽しむためにやって来る。復興作業ではなく、楽しむためにたくさんの人が自分の町にやって来る。そのことが現地の方にとっても嬉しいのではないかと思います(もちろん復興作業は大切ですが)。
走る僕らも楽しいし、それを応援する地元のおばちゃんや子供たちも楽しい。それがこのイベントのなんとも言えない幸福感を作り出しているように感じました。

これからも参加し続けたいイベントです。

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